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耳鳴りでスマホを操作するイヤフォン

なんでも、ドイツのカールスルーエ工科大学とイギリスのランカスター大学の研究チームが開発した「EarRumble」というイヤフォンがあるのだそうで、このイヤフォン、耳鳴りを発生させる筋肉収縮を利用してモバイル機器を操作するウェアラブルバイスなのだとか。

f:id:odioland:20210906100335p:plain どうやら大きな音を減衰させるのに使われる鼓膜張筋によって変化する外耳道内の圧力を測定し、ジェスチャーとして使うのだそうで、なんだかおもしろそうなガジェットですよね。

仕組みは、鼓膜張筋の収縮を自発的に制御すると、ゴロゴロ音や振動音などの耳鳴りが発生するのだそうですが、残念ながら、誰もが自発的に動かせるわけではないのだそうで、オンラインアンケート調査では、鼓膜張筋を自発的に収縮させて耳鳴りを誘発できる人は43.2%だったのだとか。

耳鳴りを誘発できる人のうち、80.7%が持続時間を変えたり、複数の音を連続して発することができると回答したのだそうで、ほとんどの場合は他人に気付かれずに鼓膜張筋を動かせることが分かった。

今回は、一部の人が使いこなせる鼓膜張筋の自発的な収縮を活用してジェスチャー操作を行うのだそうで、市販のイヤフォンからスピーカーを取り外し、3Dプリンタで印刷したケースに取り付け、外耳道の密閉性を確保するために耳栓を使用。

耳の中の気圧を測定するために、32Hzでサンプリングする圧力センサーを組み込んだそうです。

鼓膜張筋を自発的に収縮できる参加者から圧力信号のデータを収集し、ジェスチャーを検出する機械学習パイプラインを開発、訓練し、閾(しきい)値検出アルゴリズムと特徴ベースの機械学習分類法を使い、圧力信号から1回の収縮、2回連続の収縮、1秒以上の長時間収縮の3つのジェスチャーを認識するようにした。

電話の着信シーンを想定した実験では、1回の収縮で着信を受け取る、2回の収縮で拒否する、長時間の収縮でミュートにするの3つを参加者に操作してもらったようで、リアルタイム性能で最大95%の精度を実現したが、長時間収縮の検出によるジェスチャー(ミュート)は困難だと分かったのだとか。